海外FX業者を利用して一定以上の利益を得ると、2月中旬から3月中旬の期間内で確定申告を行わなければなりません。
まずは海外FXで利益を得た場合、どのような人が確定申告の対象となるのか確認していきましょう。
◆海外FX利用者で確定申告が必要な人
会社員の方はお勤め先で源泉徴収をしてくれるため、確定申告をされている方は少ないと思います。
※源泉徴収とは1年間の所得にかかる税金(主に所得税)を、お勤め先があらかじめ差し引いてくれる制度
源泉徴収した所得税は、会社が年末調整で過不足を調整した後、納税まで行ってくれるため確定申告をする必要がないのです。
しかし海外FX業者を利用している場合、業者側で源泉徴収を行ってくれず、自分で1年間の利益を計算し確定申告をして納税まで行わなければなりません。
そこで今回は、海外FX業者で利益を出した場合の確定申告のやり方について詳しく解説していきます。

- 金子賢司(かねこけんじ)
- 保有資格
・CFP
・住宅ローンアドバイザー
・生命保険協会認定FP
・損保プランナー
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
金子賢司氏 公式ホームページ
海外FX利用者の確定申告の注意点
まずは確定申告に進む前に注意点をお伝えしていきます。
海外FX利用者で確定申告の対象となる所得とは、海外FXで得た利益と損失を合算して算出される所得が対象です。
たとえば会社員の方がある年に利益が100万円、損失が90万円の場合、差し引き10万円の利益のため確定申告を行う必要はありません。
また所得の対象となるのは、ポジションを決済して利益を確定した時となるため、含み益の状態では課税対象となりません。
ここまでをまとめると、海外FXの利用者が確定申告の対象となるのは以下のとおりです。
- 会社員の方で海外FXの利益が年間20万円以上ある
- 専業トレーダー、専業主婦の方は海外FXの利益が年間38万円以上ある
- ポジションを決済し利益を確定し確定申告の対象者となる場合
海外FX口座利用者の確定申告の方法
それではここから海外FXを利用した場合の確定申告の方法を説明していきます。
まず確定申告には以下の4つの方法があります。
- 国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」を利用して郵送する
- 税理士に依頼する
- 「e-Tax」でマイナンバーカード方式で申告
- 「e-Tax」でID・パスワード方式で申告
おすすめは①国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して郵送する方法です。
②税理士に依頼する場合、確定申告書作成のための代行費用が発生します。
せっかく得た海外FXの利益をここで使うのはもったいないですよね。
また③と④の「e-Tax」を利用する場合、PCやスマホからでも電子申請でき便利なのですが、申込み手続きが必要など手間がかかります。
そのため初めて確定申告を行う方であれば、①の確定申告書等作成コーナーを利用される方法がいいでしょう。
確定申告書等作成コーナーとは、確定申告を行うために国税庁が用意しているツールで、必要事項(収入など)を記入するだけで自動で計算してくれます。
自分で税金の計算をする必要もなく、ネット環境さえあれば誰でも利用することができます。
では実際に確定申告書等作成コーナーを利用した確定申告の方法について説明していきます。
おすすめは書面提出!確定申告の必要書類とは
まずは確定申告を始める前に以下の5つの必要書類を用意しましょう。
- マイナンバーカード(※)
- お勤め先から受け取った源泉徴収票
- 所得控除の証明書(生命保険料控除など)
- 必要経費の領収書
- 海外FXの年間取引報告書
(※)マイナンバーカードがない場合は、通知カードやマイナンバーの記載がある住民票の写しと、身分証明証(運転免許証など)で対応可能
会社員の方は、お勤め先から受け取った源泉徴収票をなくさずに保管しておくようにしましょう。
また③所得控除の証明書ですが、お勤め先で年末調整を行い必要書類を提出している場合は用意しなくても大丈夫です。
そしてここからがポイントです。まずは④必要経費について詳しく説明していきます。
経費を利用して税金対策!何が経費に含まれるのか?
海外FXを利用し、利益を出すためにかかった費用を必要経費として計上できます。
必要経費を計上すると、海外FXで得た利益から差し引くことができ税金対策が可能です。

必要経費を上手く活用できれば、海外FXの所得を減らすことができるということですね。
ただし必要経費として計上できるものは、あくまで「海外FXで利益を出すためにかかった費用」であることが条件です。たとえば以下のような費用が必要経費に該当します。
- パソコン等の設備費
- セミナー費用
- 書籍代
- 家賃や光熱費の一部
- 交通費
- プロバイダー費
- 情報入手のための費用
(トレーダー仲間との食事の費用など)
海外FXの必要経費はFXの取引にかかった費用ですから、セミナー費用やパソコン等の設備、トレーダーとの情報交換という名目であれば食事代なども計上可能です。
ただしこれらの必要経費を確定申告を行う際は、必ず領収書が必要となるため、無くさずに保管しておくようにしましょう。
続いて⑤海外FXの年間取引報告書について説明していきます。
年間報告書の発行方法(MT4、MT5のXM)
今回はXMを例に年間取引報告書の発行方法を説明していきます。
MT4、MT5を利用されていれば、ツールの中の機能で簡単に年間取引報告書をダウンロードして用意することが可能です。
まずXMの口座にログインし、「口座履歴」のタブを選択し右クリックをします↓

その中の「期間指定」をクリックします(MT4なら「期間のカスタム設定」)↓

確定申告で申告する期間を設定しOKをクリックします↓
なお2021年に確定申告をする場合は、2020年1月1日〜2020年12月31日までの1年間の取引履歴を選択しましょう。

その後、「レポート保存」をクリックするとPC上に保存できるようになります↓

ここで取得できるレポートの「Close P/L」が年間確定損益を表します。
ここの数字が給与所得者(会社員など)であれば20万円、専業トレーダーや専業主婦であれば38万円以上となれば確定申告が必要となります。
口座が外貨建ての場合、各取引ごとにその日の為替レートで円に換算する必要があります。
これで確定申告に必要な書類は全て用意できました。
確定申告書等作成コーナーでXMを例に確定申告してみる
それではここから確定申告書等作成コーナーを利用して、確定申告を行う手順を説明していきます。
①確定申告書等作成コーナーに入る
まずは以下の国税庁の「確定申告書等作成コーナー」のページに入り、「作成開始」をクリックします。
国税庁 確定申告書等作成コーナー

今回は確定申告書を印刷して提出するため、「印刷して提出」をクリックします↓

確定申告書等作成コーナーを利用するにあたり、パソコン環境と利用規約について説明があり、問題がなければ「利用規約に同意して次へ」をクリックします↓

今回は2020年(令和2年分)の海外FXで得た利益の確定申告を行うため、「令和2年分の申告書等の作成」をクリックします↓

確定申告では所得税の申告を行うため「所得税」の項目をクリックします↓

「作成開始」をクリックします↓

続いて自分の生年月日を入力します。
そして今回は海外FXで得た収入の確定申告を行うため、「給与以外に申告する収入はありますか?」の質問に対し「はい」を押してください。
その他の質問「税務署から青色申告の承認を受けていますか?」と、「税務署から予定納税額の通知を受けていますか?」は該当しなければ「いいえ」を押します。
全ての質問に回答し「次へ進む」を押しましょう↓

②収入金額・所得金額の入力の入力
続いて所得の入力を行っていきます。
会社員の方の場合は「給与所得」、フリーランスなどの個人事業主の方の場合は「事業所得」の各項目に所得金額を入力ていきます。

ここでは会社員の方の場合を説明していきます。
「給与所得」の右隣にある「入力する」をクリックします↓

下記の「入力する」をクリックします↓

お勤め先から受け取った源泉徴収票に記載されている金額を、指定された項目に入力していきます。
全ての項目の入力が完了し、一番右下の「入力内容の確認」をクリックします↓

入力内容を確認し「次へ進む」をクリックします↓

会社員の方の源泉徴収票の必要事項の入力は完了です。
③海外FXで得た利益(所得)を入力
続いて海外FXで得た利益を入力していきます。
海外FXで得た利益は10種類ある所得のうち「雑所得」に該当します。
なお海外FXの税金の仕組みについては、別ページで書いていますので、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

「収入金額・所得金額の入力」に戻り、雑所得の「業務・その他」の欄の「入力する」をクリックします↓

下記の「入力する」をクリックします↓

雑所得の入力画面に移り、種目を「その他」その下に「証拠金取引」と入力します↓

なお今回は海外FXで得た利益の確定申告ですので、業務には該当ないため「いいえ」を選択してください。
続いて先ほどダウンロードした年間取引報告書をもとに海外FXで得た利益の金額を入力していきます。
「収入金額」に1年間の利益合計額、「必要経費」にかかった経費を入力します。
「源泉徴収額」は未記入で大丈夫です。
「所得の生ずる場所」ですが、今回はXMを利用していますので、「F20,1st Floor,Eden Plaza,Eden Island,Seychelles」、報酬などの支払い者の氏名・名称に「Tradexfin Limited.」と記入します。
【XMにおける入力例】
- 種目:証拠金取引
- 収入金額:XMにおける利益額
- 必要経費:かかった経費
- 所得の生ずる場所(全角28文字以内)(ビル名等省略可):
- 報酬などの支払者の氏名・名称(全角28文字以内):Tradexfin Limited.
なお海外FX業者により「所得の生ずる場所」と「報酬などの支払者の氏名・名称」は異なりますので、下記を参考にしてください。
- 種目:証拠金取引
- 名称:GEM GROUP NZ LIMITED
- 場所:Level1,275 Onehunga Mall,Onehunga,Auckland
- 収入金額:GEMFOREXにおける利益額
- 必要経費:かかった経費
- 種目:証拠金取引
- 名称:Titan FX Limited.
- 場所:1stFloor,Govant Building,Kumul HighwayPort Vila,Vanuatu
- 収入金額:TitanFXにおける利益額
- 必要経費:かかった経費
- 種目:証拠金取引
- 名称:Axiory Global Ltd.
- 場所:No. 1 Corner of Hutson Street and MarineParade,Belize City,Belize
- 収入金額:AXIORYにおける利益額
- 必要経費:かかった経費
全ての項目の入力が終われば、右下の「入力内容の確認」をクリックします↓

なお複数の海外FX業者を利用している場合は、業者ごとに分けて入力するようにしましょう。
④所得控除・税額控除の入力
給与所得や雑所得の入力が終われば、所得から差し引くことができる「所得控除」を入力していきます。
「収入金額・所得金額の入力」画面に戻り、画面右下の「入力終了(次へ)」をクリックします↓

源泉徴収票をもとに該当する所得控除の金額を入力していきます↓

所得控除を受ける場合は、必ず証明書の添付が必要になります(お勤め先で年末調整の際に証明書を提出されている場合は不要です)。
もし年末調整で所得控除を申請し忘れた場合、確定申告にて申請することができます。
所得控除の入力が完了すれば、画面右下の「入力終了(次へ)」をクリックします↓

続いて税額控除の入力画面に移ります。こちらも該当する項目がある場合は入力しましょう↓

税額控除の該当項目(ない場合は入力しなくても大丈夫です)を入力し、右下の「入力終了(次へ)」をクリックします。
⑤所得税の納税額が確定
全ての必要事項を入力し終えると、システムが自動的に納めるべき所得税を計算してくれます↓

上記に表示された「納付する金額」が、あなたの納める所得税の金額です。
住民税は確定申告で所得税が確定し、そのデータがお住まいの自治体にデータが送られてから確定し、5〜6月に「住民税決定通知書」が送られてきます。
つまり住民税の金額については、住民税決定通知書が送られてくるまでは確認できないということですね。
最後に入力内容がないか確認し、問題なければ画面右下の「次へ」をクリックします。
⑥住民税等の入力
所得税の金額が確定すると、続いて住民税等の入力に移ります。
「住民税・事業税に関する事項」をクリックします↓

まず住民税の徴収方法を選択します。
実はここがポイントで「給与から差引き」を選択すると、お勤め先に住民税のデータが送付されてしまいます。
そのため海外FXを利用して利益を得ていることをお勤め先に知られたくない場合は、「自分で納付」を選択しましょう↓

その他、扶養親族や配当所得などの該当項目がある方は入力していきます。
自分で納税する方法は5通りあり、それぞれ特徴があります。※スマホでご覧の方は横にスクロールできます。
納付手続き手段 | 内容 | 期限 | 手数料 |
---|---|---|---|
振替納付 | 指定した預貯金口座の引き落としによって納付する方法。 | 毎年3月15日まで | なし |
コンビニQR納付 | 納付用QRコードをコンビニの端末で読み取り、そちらに納付する方法。 | 毎年3月15日まで | なし |
電子納税 | e-Taxを利用してダイレクト納付、またはインターネットバンキングから納付する方法。 | 毎年3月15日まで | なし ※インターネットバンキング利用料は別途あり |
クレジットカード納付 | 「国税クレジットカードお支払いサイト」での手続きの上、納付する方法。 | 毎年3月15日まで | 納税額に応じてあり |
窓口納付 | 金融機関、または所轄の税務窓口で納付する方法。 | 毎年3月15日まで | なし |
住民税についての必要事項を入力し終えたら、右下の「「入力終了(次へ)」をクリックします↓

再度、住民税等入力の画面に戻り、右下の「「入力終了(次へ)」をクリックします↓

⑦納付金額の確認と住所・氏名等入力
最後に納付すべき所得税の金額の確認と、住所・氏名などの個人情報を入力していきます。

続いて所得税の納付方法を選択していきます。
納付方法は、「振替納税」「コンビニQR納付」「電子納税」「クレジットカード納付」「窓口納付」の5通りです。
住所・氏名などの個人情報が入力できれば、右下の「次へ進む」をクリックします↓

続いてマイナンバーを入力していきます↓

なおマイナンバーが分からない場合は、「次へ進む」をクリックし、表示されるメッセージをご確認してください。
⑧確定申告書の印刷
最後に確定申告書の印刷を行います。

データを保存しプリンターで印刷をしましょう。
今回は印刷した確定申告書を郵送で所轄の税務署に送る方法となります。
所轄の税務署は、以下の画面内でも確認できます。

注意事項をよく読み、修正等がなければこれで確定申告は終了です。
まとめ
繰り返しになりますが、海外FXで利益を得た場合、1年間で会社員の方は20万円以上、専業トレーダーや専業主婦の方は38万円以上の利益がある場合は確定申告が必要となります。
確定申告というと、やり方がわからず難しそうというイメージを持たれる方も多いですが、やってみると意外とスムーズにできるものです。
なおもし確定申告の対象者となっているにも関わらず申告をしなかった場合は、罰金や延滞税などのペナルティが発生するため忘れずに行うようにしましょう。
まだ、海外FXに不慣れで今回紹介した以外にも経費になるかどうか判断がつかないなど不安な時は、多少費用をかけてでも専門家に相談するのも一つの方法です。
これは勝手に費用になるのではないか?収入が少ないので確定申告は必要ないのでは?このような独断で仮に税額が発生しても、ペナルティが課されてしまい知らなかったでは済まされません。確定申告の時期の前であれば、税務署の人も落ち着いて相談に乗ってくれます。特に初めて確定申告をむかえる方は前倒しの行動を心がけましょう。
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