海外FXの税金計算方法と実際の支払額シミュレーション【FP監修】

海外FXの税金の仕組み
 
海外FX業者を利用して利益を得た場合、国内FX業者を利用した時と同様に日本の税制に則って税金を納める必要があります。

しかし海外FXは、国内FXで利益を得た場合と税金の仕組みが異なります。

また自分が納税対象者となり、ルールに則って納税をしないと「脱税」と見なされ延滞税や罰金が課せられることもあるのです。

そこでこの記事では、海外FXの税金の仕組みや計算方法、納税方法、国内FX業者を利用した時の違いまで初心者の方でもわかりやすく解説していきます。

この記事の監修者

金子賢司さん

  • 金子賢司(かねこけんじ)
  • 保有資格
    ・CFP
    ・住宅ローンアドバイザー
    ・生命保険協会認定FP
    ・損保プランナー

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

海外FXの税金計算 5つのポイント

海外FXの利益に対する対象となる税金は、「所得税」と「住民税」です。

所得税や住民税については、会社員の方が毎月お勤め先から受け取る「給与明細」に記載されているのを見たことがあるかと思います。

海外FXで利益を得た場合の税金計算方法については、大きく以下の5つのポイントがあります。

  1. 海外FXの含み益は課税されない
  2. 海外FXのボーナス分は課税されない
  3. 所得税は「雑所得」の対象
  4. 「累進課税」が採用される
  5. 住民税はおおむね10%前後

①海外FXの含み益は課税されない

ポジションを決済して利益を得た時点で「所得」と見なされるため、含み益の状態では課税されません。

つまり含み益が100万円あっても、1,000万円あっても1円も税金を納める必要がないのです。

こちらについては海外FXだけではなく、国内FXも同様にポジションを決済して利益を得た時点で課税されます。

②海外FXのボーナス分は課税されない

海外FXの魅力の1つともいえるボーナス。実はボーナスに関しては課税対象となりません。ただし注意点があります。

それは海外FX業者によってキャッシュバックという形でボーナスを受け取れる場合です。

この場合、口座から出金できてしまうため「所得」と見なされ課税対象になってしまうのです。

それでもほとんどの海外FX業者は、証拠金のみに利用できるボーナスであるため、出金できず課税対象となることは少ないでしょう。

自分の利用する海外FX業者が、どのような形でボーナスを受け取れるのかはチェックしておくといいですね。

関連:海外FXのボーナスは税金がかかる?損失補填やキャッシュバックは課税対象?

③所得税は「雑所得」の対象

ここから税金の具体的な内容に入っていきます。

まず所得税ですが、海外FXで得た利益に対しては、10種類ある所得のうち「雑所得」という扱いになります。

そもそも所得が10種類もあることに驚いた方も多いでしょう。実は以下のとおり、どのようにして所得を得たかによって種類が分けられているのです。

所得の10種類
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

ちなみに会社員の方が受け取る給与は「給与所得」、株式を保有して配当金を得ると「配当所得」となります。

このうち海外FXで得た利益は「雑所得」となり、会社員の副業や公的年金、仮想通貨で得た利益などもこれに含まれます。

④「累進課税」が採用される

海外FXで得た利益は、国内FXと異なり累進課税が適用されます。累進課税とは以下の表のように所得金額によって税率が変わる仕組みです。

海外FXの税金所得税速算表

引用:国税庁 所得税の税率

つまり海外FXでは利益の金額が多くなるほど税率が高くなり、納める税金が増えるということです。

ちなみに国内FXの場合は申告分離課税といい、復興特別所得税を含めて一律20.315%の税金が課税されます。

国内FXでは利益が1円でも100万円でも、同じ20.315%の税率が適用されるということですね。

⑤住民税はおおむね10%前後

住民税はお住いの自治体によって異なりますが、おおむね10%前後だと思ってください。

基本的に住民税については、自治体が計算してくれるため自分で利益を計算して税金を算出する必要はありません。

年末調整や確定申告を終えると所得税が確定し、5月末〜6月末に「住民税決定通知書」という書類が送られてきます。

住民税は会社員の場合は年末調整、自営業の場合は確定申告で申告を行います。

海外FXの利益は他の所得と合算される「総合課税」が適用される

海外FXは、他の所得と合算して課税される「総合課税」が適用されます。

総合課税の対象となる所得は以下の8つです。

総合課税の対象となる8つの所得
  1. 利子所得の一部
  2. 配当所得の一部
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 譲渡所得
  7. 一時所得
  8. 雑所得

引用元:国税庁 総合課税制度

会社員Aさんの年収を例に計算してみます。

  • 給与収入:400万円
  • 海外FXの利益:50万円
  • 副業の収入:40万円

この年にAさんが得た所得は給与収入は「給与所得」、海外FXの利益と副業の収入は「雑所得」となり、これらは総合課税の対象で全て合算されます。

つまりこの年のAさんの収入は、

400万円+50万円+40万円=490万円

となります。

続いて海外FX専業トレーダーのBさんの場合も計算してみましょう。

  • 海外FXの利益:200万円
  • ブログのアフィリエイト収入:200万円
  • 不動産収入:100万円

この年にBさんが得た所得は海外FXの利益とブログのアフィリエイト収入が「雑所得」、不動産収入が「不動産所得」となり、これらも総合課税の対象で全て合算されます。

つまりこの年のBさんの収入は、

200万円+200万円+100万円=500万円

となります。

海外FX利益の税金をシミュレーション

それでは実例を使って、海外FXで得た利益に対する税金がどれくらいになるのか、シミュレーションしていきましょう。

まず計算の前提条件を以下のように設定します。

計算前提条件
  • 30歳サラリーマン(独身)
  • 給与収入:700万円
  • 海外FXの利益:100万円

海外FXで得た利益に対する税金の計算方法は、以下の4ステップす。

税金の計算方法
  1. 給与所得控除の計算
  2. 給与所得控除後の金額を計算
  3. 所得控除の計算と所得金額を計算
  4. 税率をかけ税金を計算

①給与所得控除の計算方法

「給与所得控除」とは、会社員の方の必要経費だと思ってください。

会社員の方は仕事のためにスーツや服、靴、文房具など少なからず支出があります。

これら仕事のために支出した費用を、給与収入に応じて所得を減らしてくれる仕組みが給与所得控除です。

給与所得控除は「給与所得」を受け取った方が対象のため、専業トレーダーや専業主婦の方の場合は適用されません。

ただし専業主婦の方でも、パートなどで給与所得を受け取っていれば、給与所得控除は適用されます。

海外FXの税金 給与所得控除

引用元:国税庁 給与所得控除とは

今回の例では給与収入が700万円のため以下のように給与所得控除額が算出されます。

700万円×10%+110万円=180万円

つまりこの方の給与所得控除は180万円となります。

②給与所得控除後の金額の計算方法

給与所得控除の金額が計算できれば、給与収入の金額から給与所得控除の金額を差し引きます。

700万円−180万円=520万円

つまりこの方の給与所得は520万円となります。

実は会社員の方が受け取る源泉徴収票にも、会社が支払った給与と給与所得控除後の金額が記載されています。

給与所得の源泉徴収票

引用:国税庁 給与所得の源泉徴収票

画像の赤い丸が会社が支払った金額、青い丸が給与所得控除後の金額です。

③所得控除の計算方法

給与所得控除後の金額が算出できればあと少しです。続いて確認するのが「所得控除」です。

所得控除とは「所得から差し引かれる金額」のことで、15種類用意されています。

所得控除
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業掛金等控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄付金控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除

今回のシミュレーションでは30歳独身のサラリーマンで、所得控除は誰でも活用できる基礎控除48万円(所得金額に要件有)が適用されます。

さらに毎月会社で支払っている社会保険(年金や医療保険など)も支払った分全額が控除されるため、社会保険料控除も適用していきます。

ここでは社会保険料控除をいったん100万円とします。

給与所得控除後の金額が520万円で、海外FXで得た利益100万円と合わせると以下のようになります。

(520万円+100万円)−48万円−100万円=472万円

つまりこの人の課税所得は472万円となります。

「収入」や「所得」はよく一緒にされがちですが、全くの別物ですので注意しましょう。

④税率をかけ税金を計算

課税所得が計算できたので、最後に税率をかけて納税額を計算していきます。

先ほどの所得税の速算表を活用します。

海外FXの税金所得税速算表

 
ここで注意点があります。それは海外FXの利益に対して適用される「総合課税における税率の捉え方」です。

まず今回のシミュレーションの課税対象額が472万円であるため、20%の税率が適用されるかというと、実はそうではないのです。

この場合の税率は一律で20%ではなく、1,949,000円までは5%、1,950,000〜3,299,000円までは10%、4,270,000円までは20%とそれぞれの税率で計算していくのです。

図に表すとこのようなイメージですね。

海外FX税金 税率の決まり方

 
それでは課税対象額472万円の人の税金を計算していきましょう。

  • 1,949,000円までの税金:97,450円
  • 3,299,000円までの税金:134,900円
  • 4,720,000円までの税金:284,000円

上記を合算すると、516,350円となります。

最後に復興特別所得税2.1%を加算します。

516,350円×2.1%=10,843円(小数点以下は切り捨て)

つまりこの人の納める所得税は、

516,350円+10,843円=527,193円

となります。

続いて住民税の計算をします。

住民税はお住まいの自治体により、若干異なりますが多くの場合「課税所得×10%」くらいであるため、ここでは税率10%として計算します。

つまりこの例の住民税は、

472万円(課税所得)×10%=472,000円

となり、所得税と住民税の合計金額は、

527,193円+427,000円=954,193円

となります。

海外FXの税金は、海外FXで得た利益の金額だけではなく、他の合算される所得によって変わるということですね。

海外FXの税金計算方法がわかったところで、どのようにして税金を納めるのかを説明していきます。

海外FXの確定申告・納税方法

海外FXの利益が一定額を越えたら、必ず確定申告が必要です。

給与所得者で年間20万円以上のFX所得と給与所得者でない人で年間38万円以上のFX所得

 
海外FXの利益が会社員の方は年間20万円を超えた場合、専業トレーダーは年間38万円を超えた場合のみ確定申告が必要となります。

海外FXで初めて確定申告する方には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用した確定申告がおすすめです。

国税庁 確定申告書等作成コーナー

自宅でネット環境があれば、簡単に確定申告ができます。

海外FXの確定申告方法は、こちらをご覧ください。

関連:海外FX確定申告の書き方・やり方と必要書類を解説

海外FXと国内FXの税金の違い

国内FX業者 ⇒ 申告分離課税、海外FX業者 ⇒ 総合課税

 
海外FXは、国内FXと税金の仕組みが異なります。

海外FXと国内FXの税金の違いについて一覧表でまとめてみました。

比較項目国内FX海外FX
納税義務
確定申告の所得額給与所得者:年間20万円以上
非給与所得者:年間38万円以上
所得区分雑所得
税制度申告分離課税総合課税
税率一律20.315%累進課税
損失繰越×

大きな違いは海外FXは、利益や他の所得のよって税率が異なる累進課税に対し、国内FXは一律20.315%という点です。

よく「海外FXの方が税金面でお得」などと勘違いされることがありますが、実際は海外FXへの税金優遇などはなく、海外FXの利益やその他の死得額によっても課税額が異なります。

また海外FXは、「損失繰越」ができない点にも注意しましょう。

損失繰越とはある年のFXで損失を出した場合、その損失を翌年以降に繰り越して税金を抑える制度です。

海外FXの損失繰越については、以下の記事で詳しく書いています。

関連:海外FXは損失繰越ができない!国内業者と比べた税金の違いとは?

まとめ:海外FXで利益を得て課税対象となれば必ず確定申告を

海外FX業者は拠点が海外にあるため、もし利益を得て課税対象者となっても税金を納めなくてもバレないなのでは? と思うかもしれません。

しかし税金に関してはそんなに甘いものではありません。

日本に居住して海外FX業者を利用し、トレードで利益を引き出す場合、海外送金を利用すると思います。

海外送金が行われると、請け負った金融機関は税務署への報告義務があるのです。

厳密にいうと1回で100万円を超える海外送金に関しては、「国外送金等調書」を金融機関が提出義務となっており、送金情報は税務署に筒抜けです。

仮に100万円を下回る海外送金であっても、金融機関は送金情報を把握しているので調べればすぐに確認できてしまいます。

ちなみに課税対象者でありながら、税金を納めていなかったことが発覚すると、以下のようなペナルティが発生します

  • 延滞税
  • 利子税
  • 重加算税
  • 無申告加算税

特に悪質の場合は、脱税で逮捕ということにもなりかねません。

納税は国民の三大義務であるため、自分が課税対象者となれば必ず納めるようにしましょう。

監修者のコメント

海外FX税金監修者
海外FXと国内FXは税金の仕組みが異なります。しかしどちらが有利かは一概に判断ができません。
海外FXにおいては、利益も含めた課税対象額が一定額以上になれば、国内FXよりも税率が上回ります。また、仮にFXで損失が発生した場合、国内FXは損失を最長3年間繰り越すことができますが、海外FXは損失の繰り越しができないなど一長一短があるからです。

海外FX、国内FXとも確定申告が必要な年間所得は、パート・アルバイト・サラリーマンなどの給与所得者の場合は20万円以上。トレーダーや専業主婦、フリーランスのような非給与所得者の場合は38万以上となっています。該当する場合は忘れずに確定申告を行いましょう。

仮に確定申告を怠った場合に課される重加算税の金額は追加納付額×35%~40%と非常に重たいものです。
参考までに、脱税の事件を1つご紹介します。2018年に住職がFX取引の利益を申告せず3,100万円の所得税を脱税したという事件。この事件はFXの利益を隠蔽していたわけではなく、利益は出ていたがFX口座からお金を出していなかったので大丈夫だろうと思っていたというケースです。
このように勝手な思い込みが脱税になってしまう可能性もあります。少しでもわからないことがあったら税務署や税理士に相談をしましょう。

【2022年最新版】
海外FX業者おすすめランキング

【2022年最新版】海外FX業者おすすめランキング

ユーザーA

結局どこの海外FX業者が良いの?

ユーザーB

安心して使える海外FX業者はどこ?

このようなお悩みを持つあなたのために、「 おすすめの海外FX業者ランキング【2022年最新版】 」をご用意しました。

海外業者選びにおいて非常に重要な6つのポイントを基準に、初心者でも安心して利用できる本当におすすめの業者を紹介しています。

ぜひ、業者選びの参考にしてみてください。

総合ランキングを見る
海外FX業者1~15位